この投稿では、MacでのAnacondaインストール方法と注意点について説明します。macOSでデータサイエンスや機械学習プロジェクトを始める、またはPythonを使ったプログラミングを行うには、Anacondaをインストールするのが効率的な方法の一つです。Anacondaは、Pythonやさまざまなデータ分析、機械学習関連のライブラリが含まれたディストリビューションで、必要なツールを一度にインストールできるため非常に便利です。また、Anacondaに含まれるパッケージ管理ツールであるconda
を利用すれば、さまざまなPythonパッケージを簡単にインストールおよび管理できます。
目次
Anacondaとは?
Anacondaは、PythonおよびRのプログラミング言語による科学計算のためのオープンソースディストリビューションです。データサイエンス、機械学習、人工知能、統計分析などに関連する数多くのライブラリやツールが含まれており、個別にインストールする必要がなく、一度にインストールして利用できます。NumPy、Pandas、SciPy、TensorFlow、scikit-learnなどの主要なライブラリが含まれており、データ分析や機械学習作業を迅速に開始できます。
Anacondaの主要なツールの一つであるconda
は、パッケージと環境を管理するツールです。これはPythonだけでなく、さまざまな言語のパッケージをインストールおよび管理でき、プロジェクトごとに独立した仮想環境を簡単に作成および管理できます。
MacでのAnacondaインストール
AnacondaをmacOSにインストールする手順は簡単ですが、いくつかの注意点を考慮する必要があります。以下に、Anacondaインストール方法と注意点について詳しく説明します。
Anacondaのダウンロード
ホームページにアクセスしてダウンロードページへ移動
Anacondaのインストールを開始するためには、まず公式ウェブサイトからインストーラーをダウンロードする必要があります。上部メニューの「Products > Distribution」に進みます。
Anacondaに関する情報を受け取りたい場合は、メールアドレスを入力し、緑色の「Submit」ボタンをクリックしてください。もしAnacondaに関する情報をメールで受け取りたくない場合は、下の「Skip registration」をクリックすると、ダウンロードページに移動します。
Anacondaダウンロードページへ直接移動
または、ウェブブラウザを開き、Anacondaのダウンロードページに直接移動します。緑色のMac用ダウンロードボタンをクリックすると、Macのプロセッサに応じてApple Silicon用とIntel用のダウンロード案内が表示されます。緑色のボタンをクリックすると、ダウンロードされるインストールファイルはpkg拡張子のGUIインストーラーです。
もしコマンドラインでインストールしたい場合は、下の「Anaconda Installers」からダウンロードする必要があります。「Anaconda Installers」の画面中央にMac用のAnacondaファイルがあります。Mac OSは現在、Intelプロセッサ用とApple Siliconプロセッサ用に分かれています。そのため、使用するMacに適したファイルをダウンロードする必要があります。また、GUI用とCLI用にインストーラーが分かれているため、必要なものをダウンロードしてインストールしてください。
MacでのAnacondaインストール
私の場合、Intelプロセッサを搭載したMacを使用しているため、Intelプロセッサ用をダウンロードしました。したがって、これから説明する内容はすべてIntelプロセッサ用ファイルを基にしています。以下では、GUI方式のインストールとCLIインストールの両方についてそれぞれ説明します。まずはGUI方式のインストールから見ていきます。
GUI方式インストール
「このパッケージは、ソフトウェアをインストールできるかどうかを判断するプログラムを実行します。」というメッセージが表示されたら、「許可」をクリックします。
Anacondaインストールに関する紹介文が表示されたら「続ける」ボタンをクリックします。
大切な情報を読んだら「続ける」ボタンをクリックしてください。
Anacondaソフトウェア使用許諾契約を確認した後、「続ける」ボタンをクリックしてください。
利用規約に同意したら「同意する」ボタンをクリックしてください。
コンピュータのすべてのユーザーが同じように使用する場合は、「このコンピュータのすべてのユーザーのためにインストール」を選択します。ただし、私はAnacondaをユーザーごとに独立してインストールしたいので、「特定ディスクにインストール…」をクリックします。
どこにインストールするかを尋ねてきます。「Macintosh HD」を選択し、「フォルダを選択」ボタンをクリックします。
私のユーザー名は4gbなので、ユーザー > 4gbディレクトリ配下にインストールします。4gbまでクリックした後、「選択」ボタンをクリックします。皆さんは、使用するディレクトリを選択してください。選択後、ユーザーディレクトリ配下のopt/anaconda3にインストールされます。/Users/user/anaconda3にインストールしたい場合は、GUIではなくCLIでインストールしてください。
対象ディスクとフォルダの選択が完了したので、「続ける」をクリックします。
「インストール」ボタンをクリックしてインストールを進めます。
インストールがすべて完了すると、Cloud上でAnacondaを使用してコーディングできると案内が表示されます。「続ける」をクリックして進めます。
インストールがすべて正常に完了したことが通知されます。「閉じる」をクリックします。
もし、上記のウィンドウにインストール成功ではなく、インストール失敗のメッセージが表示された場合は、以下のようにAnacondaディレクトリを削除し、再起動後、再度インストールを試してください。
rm -rf ~/opt/anaconda3
最後に、インストールに使用した.pkgファイルをゴミ箱に移動するかどうかを尋ねてきます。引き続き利用する必要がある場合は「残す」をクリックしてください。私は不要なので「ゴミ箱に入れる」をクリックします。
GUI方式でインストールした場合、デフォルトでbase Anaconda環境が設定され、.zshrcや.bashrcにAnacondaの初期化が入ります。前述のように、GUIインストール時には指定したユーザーパスを基に~/opt/anaconda3ディレクトリにAnacondaがインストールされます。
CLI方式のインストール
sh
コマンドを使用して、ダウンロードした “Anaconda3-2024.06-1-MacOSX-x86_64.sh” ファイルを実行します。
sh Anaconda3-2024.06-1-MacOSX-x86_64.sh
インストールファイルを実行した後、「ENTER」を押して進めます。
利用規約を確認します。スペースバーを押すとページが1つずつ進みます。利用規約に同意する場合は「yes」と入力して進めます。
Anacondaをインストールするパスを設定できます。デフォルトでは~/anaconda3
ディレクトリにインストールされます。
GUIでインストールする場合とはインストールパスが異なります。GUIでのインストール時と同じく~/opt/anaconda3
にインストールしたい場合は、/Users/4gb/opt/anaconda3
のようにフルパスを入力します。ここで4gb
は私のアカウント名ですので、もちろん皆さんが使用しているアカウント名に置き換えてください。
今回はデフォルトのパスにインストールするので、そのまま「ENTER」を押して進めます。
インストールが完了したことを知らせてくれます。また、conda
の初期化を行うかどうかを尋ねられます。初期化を行わないとパスの設定を別途行う必要があるため、基本的にはconda
の初期化を行う方が便利です。デフォルトの「yes」を選択するか、「ENTER」を押してconda
を初期化します。
これでAnacondaのインストールがすべて完了しました。Anacondaを正しく使用するために、シェルを閉じて再度開くように案内されます。シェルを閉じて再度開くと、Anacondaのbase
環境が適用されたシェルにアクセスできます。
インストール確認および基本設定
Anacondaのインストールが完了したら、インストールが正常に行われたかどうかを確認する必要があります。
ターミナルを開く
ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。このコマンドを実行すると、インストールされたAnacondaのバージョンが表示されます。
conda --version
以下のようにバージョンが正常に表示されれば、インストールは成功です。
次にconda env list
と入力すると、現在のbase
Anaconda環境のパスを確認できます。以下の例では、GUIでインストールしたため、opt/anaconda3
にインストールされたことが確認できます。
基本的な仮想環境の作成
Anacondaをインストールする際にconda
を初期化すると、デフォルトでbase
という仮想環境が提供されます。しかし、実際の開発ではプロジェクトごとに独立した環境を使用することが推奨されます。新しい仮想環境を作成するには、次のコマンドを使用します。
ここでmy_env
は、新たに作成する仮想環境の名前です。
conda create --name my_env
作成した仮想環境をアクティブにするには、次のコマンドを入力します。
conda activate my_env
Anacondaの便利な機能
Anacondaは単にPythonパッケージを管理するだけでなく、さまざまな便利な機能を提供します。
- Jupyter Notebook: Anacondaに含まれているJupyter Notebookは、ウェブベースのインタラクティブな開発環境を提供します。データの視覚化や分析結果を即座に確認できるため、データサイエンティストに人気のツールです。
- Spyder: Anacondaに含まれているSpyderは、科学者やエンジニア向けの統合開発環境(IDE)です。MATLABに似たインターフェースを提供し、Pythonコードの作成やデバッグに役立ちます。
- パッケージ管理:
conda
コマンドを使用して、特定のバージョンのパッケージをインストールまたは更新することができます。また、仮想環境を通じてプロジェクトごとにパッケージバージョンを管理でき、競合を防ぐことができます。
インストール後の注意点
Anacondaをインストールした後、以下の点に注意してください。
PATH設定
インストール時にPATHが設定されていない場合、conda
コマンドを使用するたびにAnacondaのインストールパスを指定する必要があります。この場合、ターミナルで次のようにパスを追加できます。
export PATH="/Users/username/anaconda3/bin:$PATH"
これを.bash_profile
または.zshrc
ファイルに追加すると、毎回入力する必要がなくなり、自動で設定されます。
デフォルトPython環境との競合
Anacondaをインストールすると、デフォルトのPython環境がAnacondaのPythonに変更されることがあります。既存のPython環境を維持したい場合は、インストール時にPATH設定を行わないか、仮想環境を積極的に活用するのが良いでしょう。
更新管理
Anacondaとconda
は定期的に更新が必要です。更新により新機能やバグ修正が行われるため、定期的に更新することをお勧めします。
conda update conda
conda update anaconda
まとめ
macOSでAnacondaをインストールすることは、データサイエンスや機械学習プロジェクトを開始するための必須の手順の1つです。AnacondaはPythonとデータ分析に関連するライブラリを一度にインストールできるため非常に便利であり、conda
を利用したパッケージ管理および仮想環境の設定により、プロジェクトごとに独立した環境を簡単に維持できます。
インストール過程でのPATH設定や仮想環境の使用など、いくつかの注意点をしっかりと考慮して設定すれば、効率的で安定した開発環境を構築できます。定期的な更新と環境管理を通じて、より良い開発体験を維持しましょう。