MacでのAnacondaインストール方法と3つの注意点

この投稿では、MacでのAnacondaインストール方法と注意点について説明します。macOSでデータサイエンスや機械学習プロジェクトを始める、またはPythonを使ったプログラミングを行うには、Anacondaをインストールするのが効率的な方法の一つです。Anacondaは、Pythonやさまざまなデータ分析、機械学習関連のライブラリが含まれたディストリビューションで、必要なツールを一度にインストールできるため非常に便利です。また、Anacondaに含まれるパッケージ管理ツールであるcondaを利用すれば、さまざまなPythonパッケージを簡単にインストールおよび管理できます。

Anacondaとは?

Anacondaは、PythonおよびRのプログラミング言語による科学計算のためのオープンソースディストリビューションです。データサイエンス、機械学習、人工知能、統計分析などに関連する数多くのライブラリやツールが含まれており、個別にインストールする必要がなく、一度にインストールして利用できます。NumPy、Pandas、SciPy、TensorFlow、scikit-learnなどの主要なライブラリが含まれており、データ分析や機械学習作業を迅速に開始できます。

Anacondaの主要なツールの一つであるcondaは、パッケージと環境を管理するツールです。これはPythonだけでなく、さまざまな言語のパッケージをインストールおよび管理でき、プロジェクトごとに独立した仮想環境を簡単に作成および管理できます。

MacでのAnacondaインストール

AnacondaをmacOSにインストールする手順は簡単ですが、いくつかの注意点を考慮する必要があります。以下に、Anacondaインストール方法と注意点について詳しく説明します。

Anacondaのダウンロード

ホームページにアクセスしてダウンロードページへ移動

Anacondaのインストールを開始するためには、まず公式ウェブサイトからインストーラーをダウンロードする必要があります。上部メニューの「Products > Distribution」に進みます。

図1. Anaconda関連コンテンツ、製品およびサービスのメール登録または登録過程をスキップ
図1. Anaconda関連コンテンツ、製品およびサービスのメール登録または登録過程をスキップ

Anacondaに関する情報を受け取りたい場合は、メールアドレスを入力し、緑色の「Submit」ボタンをクリックしてください。もしAnacondaに関する情報をメールで受け取りたくない場合は、下の「Skip registration」をクリックすると、ダウンロードページに移動します。

Anacondaダウンロードページへ直接移動

または、ウェブブラウザを開き、Anacondaのダウンロードページに直接移動します。緑色のMac用ダウンロードボタンをクリックすると、Macのプロセッサに応じてApple Silicon用とIntel用のダウンロード案内が表示されます。緑色のボタンをクリックすると、ダウンロードされるインストールファイルはpkg拡張子のGUIインストーラーです。

図2. Anacondaダウンロードボタン: Apple SiliconとIntel用を選択してダウンロード(GUI用)
図2. Anacondaダウンロードボタン: Apple SiliconとIntel用を選択してダウンロード(GUI用)

もしコマンドラインでインストールしたい場合は、下の「Anaconda Installers」からダウンロードする必要があります。「Anaconda Installers」の画面中央にMac用のAnacondaファイルがあります。Mac OSは現在、Intelプロセッサ用とApple Siliconプロセッサ用に分かれています。そのため、使用するMacに適したファイルをダウンロードする必要があります。また、GUI用とCLI用にインストーラーが分かれているため、必要なものをダウンロードしてインストールしてください。

図3. Mac OS用Anaconda GUI/CLI x Apple Silicon/Intel用ダウンロード
図3. Mac OS用Anaconda GUI/CLI x Apple Silicon/Intel用ダウンロード

MacでのAnacondaインストール

私の場合、Intelプロセッサを搭載したMacを使用しているため、Intelプロセッサ用をダウンロードしました。したがって、これから説明する内容はすべてIntelプロセッサ用ファイルを基にしています。以下では、GUI方式のインストールとCLIインストールの両方についてそれぞれ説明します。まずはGUI方式のインストールから見ていきます。

GUI方式インストール

このパッケージは、ソフトウェアをインストールできるかどうかを判断するプログラムを実行します。」というメッセージが表示されたら、「許可」をクリックします。

図4. MacでのAnacondaインストール(GUI):インストーラーの実行
図4. MacでのAnacondaインストール(GUI):インストーラーの実行

Anacondaインストールに関する紹介文が表示されたら「続ける」ボタンをクリックします。

図5. MacでのAnacondaインストール(GUI):紹介
図5. MacでのAnacondaインストール(GUI):紹介

大切な情報を読んだら「続ける」ボタンをクリックしてください。

図6. MacでのAnacondaインストール(GUI):情報を読む
図6. MacでのAnacondaインストール(GUI):情報を読む

Anacondaソフトウェア使用許諾契約を確認した後、「続ける」ボタンをクリックしてください。

図7. MacでのAnacondaインストール(GUI):使用許諾契約
図7. MacでのAnacondaインストール(GUI):使用許諾契約

利用規約に同意したら「同意する」ボタンをクリックしてください。

図8. MacでのAnacondaインストール(GUI):利用規約に同意
図8. MacでのAnacondaインストール(GUI):利用規約に同意

コンピュータのすべてのユーザーが同じように使用する場合は、「このコンピュータのすべてのユーザーのためにインストール」を選択します。ただし、私はAnacondaをユーザーごとに独立してインストールしたいので、「特定ディスクにインストール…」をクリックします。

図9. MacでのAnacondaインストール(GUI):対象ディスクの選択
図9. MacでのAnacondaインストール(GUI):対象ディスクの選択

どこにインストールするかを尋ねてきます。「Macintosh HD」を選択し、「フォルダを選択」ボタンをクリックします。

図10. MacでのAnacondaインストール(GUI):対象ディスクとフォルダの選択
図10. MacでのAnacondaインストール(GUI):対象ディスクとフォルダの選択

私のユーザー名は4gbなので、ユーザー > 4gbディレクトリ配下にインストールします。4gbまでクリックした後、「選択」ボタンをクリックします。皆さんは、使用するディレクトリを選択してください。選択後、ユーザーディレクトリ配下のopt/anaconda3にインストールされます。/Users/user/anaconda3にインストールしたい場合は、GUIではなくCLIでインストールしてください。

図11. MacでのAnacondaインストール(GUI):フォルダの選択
図11. MacでのAnacondaインストール(GUI):フォルダの選択

対象ディスクとフォルダの選択が完了したので、「続ける」をクリックします。

図12. MacでのAnacondaインストール(GUI):対象ディスクとフォルダの選択完了
図12. MacでのAnacondaインストール(GUI):対象ディスクとフォルダの選択完了

インストール」ボタンをクリックしてインストールを進めます。

図13. MacでのAnacondaインストール(GUI):Anacondaインストール開始
図13. MacでのAnacondaインストール(GUI):Anacondaインストール開始

インストールがすべて完了すると、Cloud上でAnacondaを使用してコーディングできると案内が表示されます。「続ける」をクリックして進めます。

図14. MacでのAnacondaインストール(GUI):クラウド環境でのAnaconda使用案内
図14. MacでのAnacondaインストール(GUI):クラウド環境でのAnaconda使用案内

インストールがすべて正常に完了したことが通知されます。「閉じる」をクリックします。

図15. MacでのAnacondaインストール(GUI):インストール完了
図15. MacでのAnacondaインストール(GUI):インストール完了

もし、上記のウィンドウにインストール成功ではなく、インストール失敗のメッセージが表示された場合は、以下のようにAnacondaディレクトリを削除し、再起動後、再度インストールを試してください。

rm -rf ~/opt/anaconda3

最後に、インストールに使用した.pkgファイルをゴミ箱に移動するかどうかを尋ねてきます。引き続き利用する必要がある場合は「残す」をクリックしてください。私は不要なので「ゴミ箱に入れる」をクリックします。

図16. MacでのAnacondaインストール(GUI):インストール用.pkgファイルをゴミ箱に移動
図16. MacでのAnacondaインストール(GUI):インストール用.pkgファイルをゴミ箱に移動

GUI方式でインストールした場合、デフォルトでbase Anaconda環境が設定され、.zshrcや.bashrcにAnacondaの初期化が入ります。前述のように、GUIインストール時には指定したユーザーパスを基に~/opt/anaconda3ディレクトリにAnacondaがインストールされます。

CLI方式のインストール

shコマンドを使用して、ダウンロードした “Anaconda3-2024.06-1-MacOSX-x86_64.sh” ファイルを実行します。

sh Anaconda3-2024.06-1-MacOSX-x86_64.sh

インストールファイルを実行した後、「ENTER」を押して進めます。

図17. Mac Anacondaインストール(CLI): インストールファイルの実行
図17. Mac Anacondaインストール(CLI): インストールファイルの実行

利用規約を確認します。スペースバーを押すとページが1つずつ進みます。利用規約に同意する場合は「yes」と入力して進めます。

図18. Mac Anacondaインストール(CLI): 利用規約への同意
図18. Mac Anacondaインストール(CLI): 利用規約への同意

Anacondaをインストールするパスを設定できます。デフォルトでは~/anaconda3ディレクトリにインストールされます。

GUIでインストールする場合とはインストールパスが異なります。GUIでのインストール時と同じく~/opt/anaconda3にインストールしたい場合は、/Users/4gb/opt/anaconda3のようにフルパスを入力します。ここで4gbは私のアカウント名ですので、もちろん皆さんが使用しているアカウント名に置き換えてください。

今回はデフォルトのパスにインストールするので、そのまま「ENTER」を押して進めます。

図19. Mac Anacondaインストール(CLI): Anacondaインストールパスの指定
図19. Mac Anacondaインストール(CLI): Anacondaインストールパスの指定

インストールが完了したことを知らせてくれます。また、condaの初期化を行うかどうかを尋ねられます。初期化を行わないとパスの設定を別途行う必要があるため、基本的にはcondaの初期化を行う方が便利です。デフォルトの「yes」を選択するか、「ENTER」を押してcondaを初期化します。

図20. Mac Anacondaインストール(CLI): Anacondaの初期化
図20. Mac Anacondaインストール(CLI): Anacondaの初期化

これでAnacondaのインストールがすべて完了しました。Anacondaを正しく使用するために、シェルを閉じて再度開くように案内されます。シェルを閉じて再度開くと、Anacondaのbase環境が適用されたシェルにアクセスできます。

図21. Mac Anacondaインストール(CLI): Anacondaインストール完了
図21. Mac Anacondaインストール(CLI): Anacondaインストール完了

インストール確認および基本設定

Anacondaのインストールが完了したら、インストールが正常に行われたかどうかを確認する必要があります。

ターミナルを開く

ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。このコマンドを実行すると、インストールされたAnacondaのバージョンが表示されます。

conda --version

以下のようにバージョンが正常に表示されれば、インストールは成功です。

図22. Anacondaバージョン確認
図22. Anacondaバージョン確認

次にconda env listと入力すると、現在のbase Anaconda環境のパスを確認できます。以下の例では、GUIでインストールしたため、opt/anaconda3にインストールされたことが確認できます。

図23. Anaconda base環境パス確認
図23. Anaconda base環境パス確認

基本的な仮想環境の作成

Anacondaをインストールする際にcondaを初期化すると、デフォルトでbaseという仮想環境が提供されます。しかし、実際の開発ではプロジェクトごとに独立した環境を使用することが推奨されます。新しい仮想環境を作成するには、次のコマンドを使用します。

ここでmy_envは、新たに作成する仮想環境の名前です。

conda create --name my_env

作成した仮想環境をアクティブにするには、次のコマンドを入力します。

conda activate my_env

Anacondaの便利な機能

Anacondaは単にPythonパッケージを管理するだけでなく、さまざまな便利な機能を提供します。

  • Jupyter Notebook: Anacondaに含まれているJupyter Notebookは、ウェブベースのインタラクティブな開発環境を提供します。データの視覚化や分析結果を即座に確認できるため、データサイエンティストに人気のツールです。
  • Spyder: Anacondaに含まれているSpyderは、科学者やエンジニア向けの統合開発環境(IDE)です。MATLABに似たインターフェースを提供し、Pythonコードの作成やデバッグに役立ちます。
  • パッケージ管理: condaコマンドを使用して、特定のバージョンのパッケージをインストールまたは更新することができます。また、仮想環境を通じてプロジェクトごとにパッケージバージョンを管理でき、競合を防ぐことができます。

インストール後の注意点

Anacondaをインストールした後、以下の点に注意してください。

PATH設定

インストール時にPATHが設定されていない場合、condaコマンドを使用するたびにAnacondaのインストールパスを指定する必要があります。この場合、ターミナルで次のようにパスを追加できます。

export PATH="/Users/username/anaconda3/bin:$PATH"

これを.bash_profileまたは.zshrcファイルに追加すると、毎回入力する必要がなくなり、自動で設定されます。

デフォルトPython環境との競合

Anacondaをインストールすると、デフォルトのPython環境がAnacondaのPythonに変更されることがあります。既存のPython環境を維持したい場合は、インストール時にPATH設定を行わないか、仮想環境を積極的に活用するのが良いでしょう。

更新管理

Anacondaとcondaは定期的に更新が必要です。更新により新機能やバグ修正が行われるため、定期的に更新することをお勧めします。

conda update conda
conda update anaconda

まとめ

macOSでAnacondaをインストールすることは、データサイエンスや機械学習プロジェクトを開始するための必須の手順の1つです。AnacondaはPythonとデータ分析に関連するライブラリを一度にインストールできるため非常に便利であり、condaを利用したパッケージ管理および仮想環境の設定により、プロジェクトごとに独立した環境を簡単に維持できます。

インストール過程でのPATH設定や仮想環境の使用など、いくつかの注意点をしっかりと考慮して設定すれば、効率的で安定した開発環境を構築できます。定期的な更新と環境管理を通じて、より良い開発体験を維持しましょう。

リファレンス

関連ポスト

コメントする